食物アレルギー
旅先での食事は、旅行の大きな楽しみの一つ。食事に関して近年問題となっているのが、大人にも子どもにも多くみられる食物アレルギーです。学生の修学旅行でも、児童・生徒の食物アレルギー対策を重要視するようになっています。
食物アレルギーとは、原因となる食物を摂取した後に、免疫反応として体にとって不利益な症状が引き起こされることで、本来は体を守る免疫機能が過敏すぎることで起こります。例えば、小麦アレルギーの人は、小麦をとると皮膚に湿疹が出たり、目の周囲がはれたりします。このようなアレルギー反応を引き起こす食品をアレルゲンといいます。日本では卵、乳製品、小麦が3大アレルゲンで、次いで、そば、魚介類、果物類、落花生などがあげられます。
食物アレルギー対策は、原因物質の除去が最も大切です。食事をとるときにはその内容を確認することです。日本では食品衛生法によって、アレルギー物質を含む食品である卵、乳製品、小麦、そば、落花生の特定原材料5品目については、すべての流通段階で表示が義務づけられています。このほか、エビ、大豆、キウイ、イクラなど20品目については表示が推奨されています。
アレルギー食品表示の対象となる原材料は、国や地域によって異なります。欧州ではフランスが中心となって、グルテン含有穀類や甲殻類、魚類、落花生といった、アレルギー物質の表示実現を欧州連合(EU)レベルで目指しています。とはいえ今のところ、海外ではアレルゲン表示は十分とはいえません。
食物アレルギーの予防に加え、アレルギー症状発現に対する対策も具体的に準備しておくことが肝心です。本人もしくは同伴者が食物アレルギーの場合、医師の作成する、原因物質や緊急治療などを英文併記で記載した「アラートカード」を携帯しておくのも一つの方法でしょう。
監修/篠塚規 日本旅行医学会専務理事、オブべース・メディカ専任医師。02年、日本における旅行医学への貢献が認められ、ヨーロッパ旅行医学会からユリシーズ賞を授与。国際旅行医学会正会員、国際登山医学会正会員。日本旅行医学会ホームページhttp://www.jstm.gr.jp/