旅行医学

【海外旅行中の窒息事故】

海外旅行中の窒息事故 のどに食べ物が詰まった時は

国内では年末年始に餅をのどに詰まらせる事故が多発する傾向にあります。海外旅行では、季節に関係なく窒息事故が起こります。事故の起こる場所は滞在先のレストランだけでなく、機内やクルージング中の船内などさまざま。
高齢者は全身の筋力低下に比例して、飲み込みに必要な筋肉の力も低下し、食べ物を反射的に丸飲みしがち。これが気管の入り口に詰まってしまい、窒息につながります。海外旅行では、ステーキなどを食べるとき、和牛肉のように軟らかいと無意識に思い込み、よく噛まずに塊を飲み込んだり、ドイツ料理などのソーセージの塊が原因となったりすることが多いようです。
こうした事故を防ぐには、肉などはナイフで食べやすい大きさに切る。それをゆっくりとよく噛んで食べる。また、食べる前に水分をとり、のどを潤す、といった対策も必要です。
特に注意すべきは、70歳以上の人、脳卒中になったことのある人、パーキンソン病など神経疾患を持っている人などです。
のどに食べ物を詰まらせてしまったときは、呼吸ができるようなら、まず咳をするように促し、吐き出させます。食べ物が出てこないときは、左右の肩甲骨の間を続けて強く叩きます(対処 法
それがだめなら、背中から腹部に手をまわし両手を組んで、片手で拳を作り、上腹部の前に押し当て、もう片方の手で拳を包み、胴全体を引き絞るように圧迫します(同◆法
これでも異物が出てこない場合は、最後の手段、2本の指を口の中に入れて詰まった食べ物を取り出 します(同)。指で取り出せなくても、意識のある場合は指の刺激反射で食べ物は押し出されます。
老夫婦だけ、または高齢の両親を連れての旅が増えています。こうした応急処置を覚えておくことは、 同伴者の大切な命を助けることになります。


監修/篠塚規 日本旅行医学会専務理事、オブべース・メディカ専任医師。02年、日本における旅行 医学への貢献が認められ、ヨーロッパ旅行医学会からユリシーズ賞を授与。国際旅行医学会正会員、 国際登山医学会正会員。日本旅行医学会ホームページ